借地権の相続について、良い方法を教えてください

自宅の相続について相談させてください。


血の繋がりがある肉親は東京に住む息子のみです。ほかに身内は妻(昨年亡くなりました)の連れ子がいますが、養子縁組はしていないという状況です。


連れ子は身体が不自由な私の面倒を実の親のように献身的にみてくれています。また、わたしと同居している今の家を出たら特に行くところはありません。そこで、私が死んだ後は連れ子に自宅を相続させようと考えました。


既に東京で事業を営んでいる息子に打診したところ、とても感謝しているので遺産はすべて連れ子に、また葬儀費用や相続税などもすべて自分が払う、と全面的に賛同してくれました。


ところで、私の家の土地は借地権なのですが、借地権の相続は地主といろいろとやり取りが必要であり地主にお金を支払う必要があると聞きました。連れ子の負担を少しでも軽減させる方法はないでしょうか。

公開日時 : 2018年11月21日
カテゴリー : 相続に関係すること

連れ子様はご相談者様の養子ではありませんから、ご相談者様がこのまま亡くなりますと民法上は全て息子様が相続することになります。息子様はご相談者様の生前に相続放棄することはできませんから、ご相談者様のご意向を確実なものにするためには、連れ子様にご相談者様のご自宅不動産を「遺贈」する遺言を作成しておくことを強くお勧めします。


ポイントは、その遺言書の書き方です。


ご相談者様がもっとも懸念されているのは、ご相談者様が亡くなり連れ子様にご自宅不動産の借地権が移った際に、地主に支払う承諾料のことと存じます。

この承諾料の支払いは、ご相談者様が全財産を連れ子様に「包括遺贈する」という内容の遺言書を遺し、ご相談者様が亡くなられたのち遺言書通りに相続手続きが為されれば発生しません。


ここでいう包括遺贈とは、財産の分与について「私の全財産は甲氏に3分の2遺す、残りの3分の1を乙氏に遺す」などと、財産を特定せず割合で指定することです。この根拠として、民法第990条(包括受遺者の権利義務)では、「包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する。」と定めています。つまり、包括遺贈による包括承継であれば地主の承諾は不要であり、承諾料の支払いも不要と判例でも解されています(東京地裁判平19・7・10)。


包括遺贈の反対が「特定遺贈」であり、「○○県××市△△所在の不動産は甲氏に、○○銀行定期預金××万円は乙氏に」というように、財産を特定して指定することです。これは、一般的に借地権の譲渡と解されるため、民法第612条第1項「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。」の規定により、遺贈を受けた連れ子様は地主から承諾を得るとともに承諾料を支払う義務が発生します。


なお、本件については心配無用と思われますが、仮にご相談者様が連れ子様に対して全財産を相続させるという遺言を遺されたとしても、相続発生後息子様は連れ子様に対して民法上最低限相続する権利である法定遺留分(本件の場合は全財産の2分の1)を請求する権利があります。これを息子様が行使した場合、ご自宅不動産の相続財産に占める割合次第では必ずしもご相談者様の望まれる分割割合にならないことにご留意ください。


また、包括遺贈であれば地主の承諾と承諾料は民法上必要ないと言えど、社会通念上は地主に対してご相談者様の相続発生後に連れ子様が承継する旨知らせておくことは、地主との関係を良好に保つうえで必要と考えられます。

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