不動産売却みんなのQ&A

2020.10.22 相続について

登記簿と測量、小さいほうの土地の面積で相続税を申告したいのですが

相続税の申告・納付を、3ヵ月後に控えています。

相続税資金を捻出するために、私が相続する土地の一部をこれから売却する予定です。不動産会社によれば、すでに買い手もついているそうです。



買い手が実際に測量した結果の面積による売買を希望しているため、売却する不動産の測量を行いました。その結果、実際の面積は登記簿謄本に記載されている面積よりも40平方メートル近く大きいことがわかりました。



この土地に関する相続税について、地積更正登記などは行わずに登記簿謄本に記載された小さいほうの面積で申告することに問題は無いのでしょうか。そのほうが実測した面積に比べて相続税評価額も相続税も安くなるので、都合が良いのですが…。

実務上、相続税の申告に際して登記簿謄本上の面積で申告することは可能であり、珍しくもありません。しかし、ご相談者様のケースではお勧めしません。

 

土地を売却された翌年、ご相談者様はその利益である「譲渡所得」について確定申告を行い、これについての所得税・住民税を支払うことになります。一般的に相続した不動産の取得価額は相当に低いため、売却した場合は極めて高い確率で利益が出ることから、譲渡所得の確定申告はほぼ確実に必要とお考えください。

 

譲渡所得を申告する際は売却不動産についての売買契約書など、詳細情報の添付を求められます。そして、売買契約書には実測した面積が記載されているはずです。この時点で、相続税の申告はすでにお済みだと考えられます。よって、譲渡所得申告の際に提出した土地の面積、すなわち相続税申告時において行われていた測量に基づく実際の面積と、相続税申告時に用いた登記簿謄本上の面積が相違していることが判明してしまいます。

 

また、仮に売却を行わなかったとしても、実際の面積と登記簿謄本上の面積に40平方メートル近くも誤差があることをみると、ご相談者様の土地は相応に大きなものと推測します。このような土地について登記簿謄本上の面積で申告があった場合、税務署は後日税務調査を行う可能性が十分にあります。

 

以上2点により、ご相談者様が実際の面積が登記簿謄本よりも大きいことを知っていたにも関わらず、登記簿謄本に記載の小さい面積で相続税を申告した場合、税務署は土地に関する譲渡所得の申告時と税務調査において事実を把握すると考えられます。

 

本件の場合は、地積更正登記の際に法務局に提出している測量図に記載の日付が、動かぬ証拠になるでしょう。そして税務署が本件を悪質な過少申告と判断した場合には、ご相談者様に追徴課税などが課されてしまうリスクがあります。

 

したがって、相続税については既に行った実測に基づく面積で、適正に申告することをお勧めします。

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