不動産売却みんなのQ&A

2020.10.22 相続について

老人ホームの保証金は相続財産になりますか?

父が亡くなりました。相続人は私と兄になります。



生前、父は叔父から紹介された有料老人ホームに入居していました。父の死後にその老人ホームから聞いたのですが、父は亡くなるまで約1年程度しか入居していなかったので多額の入居一時金の返還があったそうです。しかも、その返還金は入居契約時に父が受取人と指定した叔父に支払い済みとのことでした。



おそらく、老人ホームへ入居の際叔父が様々な手続きの世話をしてくれたことから、父(やや痴呆気味でした)は何も考えずに叔父を指定したのだと思います。しかし、入居一時金はもともと父の財産であり、叔父は父の財産の法定相続人ではありません。それでも、入居一時金は受取人が叔父に指定されていた以上は叔父のものとなるのでしょうか?

相続発生後に返還される入居一時金の受取人について、叔父様を指定した遺言書や死因贈与契約書などが無い限り、返還された入居一時金はご相談者様とお兄様の相続財産となります。

 

過去の判例(東京地裁判平27・7・2、東京高裁判平28・1・31)によりますと、老人ホームから入居一時金の返還があった場合にその返還を受けるべき人は、本来は老人ホームとの契約と併せ入居一時金を支払った本人またはその相続人であるとされています。

 

なぜなら、老人ホームの入居一時金は、家賃や諸費用の前払い金に相当するものと解釈されているからです。そして、入居者の死亡のほかに生前の転居や老人ホームの運営停止などにより入居契約の解除または終了があった場合、原状回復相当額などを差し引いた前払い金の返還は、当該前払い金にかかる老人ホームの不当利得を認めないことと併せて、本来であれば前払い金相当の便益を受けるはずだった入居者にとって当然の権利であるからです。

 

また、上記判例からは、仮にお父様が入居一時金の返還先を叔父様に指定していたとしても、返還発生の理由のひとつにお父様の死亡を想定していることから、この場合は老人ホームからの返還に係る事務上の便宜を図るためにお父様が叔父様を受取人に指定していただけに過ぎないとの解釈が可能です。

 

以上を根拠に、ご相談者様とお兄様の間で入居一時金の返還金についての遺産分割協議を整えた上で、叔父様に対して受領済みの返還金の返金を請求してください。

 

ただし、仮に入居一時金が叔父様の立て替え・叔父様からの借金によるものであり、それについて明確な証拠などがあった場合は、叔父様が支払った入居一時金と返還金の差額相当分について相続人であるご相談者様とお兄様に求償があることが想定されます。

 

この場合は当該求償分を消極財産(相続財産のうち借金などマイナスの財産)としてお父様からの相続財産から差し引いたうえで、叔父様への返還や相続税の申告などを行う必要があります。

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