不動産売却みんなのQ&A

2020.10.22 相続について

遺産分割協議がまとまりません。相続税の納税は待ってもらえますか?

夫が亡くなりました。



相続人は妻の私と長男・長女・次女です。財産は、約7割が不動産(自宅と賃貸アパート)で、残りは銀行預金です。お恥ずかしい話ですが、私たち家族は遺産の配分をめぐる話し合いがまとまらず、お互いに裁判も辞さないような状態になっています。



そのような中、相続税の申告・納税期限が2ヵ月後に迫っているのですが、それまでに遺産の配分が決まるとは到底思えません。



遺産の配分が決まらないということは、それぞれの相続税額も決まらないことになると思います。これを理由に、税務署に相続税の納税を待ってもらえるものでしょうか?

遺産の配分をめぐる話し合い、いわゆる遺産分割協議については、いつまでに整えなくてはならないなどの期限に関する規定は設けられていません。

 

しかし相続税の申告・納税期限は、被相続人(ご主人様)が亡くなった日の翌日から起算して10ヶ月以内と決められています。たとえ遺産分割協議が整っていなかったとしても、それを理由にこの期限が延長されることはありません。

 

相続税の申告・納税期限までに遺産分割協議が整わず遺産分割ができていないことを、「未分割」の状態といいます。この場合、いったん法定相続割合で遺産分割が為されたものと仮定し、相続人それぞれが相続税を申告・納税することになります。ご相談者様の場合であれば、ご相談者様が遺産の2分の1、お子様それぞれが6分の1ずつ相続したものと仮定し、それを基に算出された相続税を納付することになります。そして遺産分割協議が整った後、相続税額が増加する相続人は「修正申告」、相続税額が減少する相続人は「更正の請求」を行うことで、当初の納税額を調整することになります。

 

しかし、未分割の状態では「小規模宅地の特例(一定の条件の下に、土地の相続財産評価額が80パーセント減)」および「配偶者の税額軽減の特例(相続財産1億6,000万円に満たない部分について、相続税額ゼロ)」の適用が受けられません。すなわち、分割ができて各特例を適用していた場合と比べ、相続税額が大きく上がってしまうのです。

 

ただし、申告・納税の時点で上記特例が適用できなかったとしても、税務署に「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出することで原則3年以内に遺産分割ができれば上記特例が適用され相続税額は軽減されます。また、たとえ3年以内に遺産分割協議が整わなかったとしても、税務署に「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を提出し承認されれば、さらに上記特例適用の延長が可能です。

 

一方で、ご相談者様は目先の相続税納税については何も特例適用も受けられず、ご主人様の遺産のうち2分の1を相続したものと仮定した相続税を支払うことについては変わりありません。こうなると、納税資金についての懸念が出てきます。

 

未分割の場合、民法では全ての財産が相続人の共有となりますので、たとえ配偶者といえど他の相続人全員の同意無しにご相談者様単独による処分ができません。つまり、納税資金がお手元に無かった場合、ご主人様の遺された預金等を納税に充てることは非常に難しいのです。お手元の資金で納税が難しい場合、銀行からの融資か延納しか手段が無くなりますが、いずれの場合も担保の提供が要請されます。ご相談者様の場合は担保適格財産として不動産が考えられますが、未分割のために共有となっている不動産を担保に供することについても相続人全員の同意が必要となります。

 

もし目先の納税資金が不足する場合、ご主人様の預金部分だけでも遺産分割協議を整えるか、銀行借入または延納のための担保に供するためお子様方全員の同意を得るしかありません。

 

いずれにせよ、まずは遺産分割協議を整えることを最優先としてください。

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