不動産売却みんなのQ&A

2020.10.22 相続について

内縁の夫が死亡しました。私は何も相続できないのでしょうか?

先日、夫が亡くなりました。

夫と呼んでいますが、私たちは婚姻関係を結んでおらず、いわゆる内縁の夫と妻です。



夫には離婚歴がありますが、前妻との間に子どもはいないと聞いています。また、夫は一人っ子だったので、法定相続人と呼ばれる肉親がいません。



夫の財産は自宅と多少の預金くらいですが、夫の正式な配偶者ではない私にはそれらを相続する権利が無いことは理解しています。とはいえ、私には身寄りが無く今の自宅(夫名義)を出たら行くところもありません。



せめてこの自宅だけでも相続できる方法は、ないのでしょうか。

民法上の婚姻関係にない内縁の配偶者には、ご相談者様のご理解通り法定相続人としての権利は認められません。

 

しかし、民法には「特別縁故者」という規定があります。特別縁故者とは、法定相続人ではないものの、同居していたり亡くなられた方の看病に努めたりなどと、実の家族と同じくらいに亡くなられた方と親密な関係にある人を指します。そして、もしご相談者様が特別縁故者として認められ、かつご主人様の法定相続人がいない場合、ご相談者様はご主人様の財産の一部または全部を取得する権利を得ることができます。

 

●今後の流れについてご説明します。

 

まず司法書士などに依頼してご主人様の戸籍謄本を調べてもらい、法定相続人が誰もいないことを確認してください。生前のご主人様が知り得ていなかった、あるいは隠していた法定相続人が見つかる可能性もあり、その場合は残念ながらご相談者様がご主人様の財産を取得することは難しくなります。

 

併せて、家庭裁判所に相続財産管理人(亡くなった人に戸籍上の相続人がいない場合、相続財産の管理をする人)の申し立てを行ってください。相続財産管理人は、官報で生前のご主人様にお金や物を貸していた人はいないかなどを呼びかけ、いる場合は相続財産の中から返済・清算を行います。その後、家庭裁判所は官報で「自分は相続人だという方は名乗り出てください」などと一定期間呼びかけ、それでも相続人が現れない場合は「相続人不存在」が確定します。

 

相続人不存在が確定した後、ご相談者様は3ヶ月以内に家庭裁判所に対してご自身が特別縁故者であることを申し立ててください。これが認められれば、ご相談者はご主人様の財産の一部または全部を取得することができるのです。

 

これに至るまでの期間は、少なくとも1年はかかると思われます。もしその期間、ご相談者様が今の住居に引き続き住む必要があれば、相続財産管理人にその旨を申し立ててください。

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