不動産売却みんなのQ&A
アパートを姉と共有で相続するのですが、不安です
預金は母が半分、姉と私が残りの4分の1ずつを相続し、自宅は母が引き続き住むため母が全て相続することで合意しています。
そのほかに父は築25年の貸アパートを所有していましたが、姉と私で2分の1ずつ公平に共有で相続することを母が強く主張しています。しかし、姉ではあっても不動産に別の持ち主がいることが自分としては気持ちの良いものではなく、母の提案に疑問を感じています。
実は姉も同じように感じているそうです。なぜなら、私が遠地に住んでいるため私と貸アパートを共有していても、結局は姉が管理せざるを得なくなるからです。母を説得したいので、不動産を共有することの問題点を教えてもらえますか。
不動産を共有で相続することは、一見すると公平です。
しかし、ご相談者様がお考えのとおり、不動産の共有は共有者単独では何もできなくなること・代替わりが進んだときに権利関係が複雑になるなど、様々な問題点があるため好ましくありません。相続等により親族間で不動産を共有で引き継いだ結果、後々に共有者同士のトラブルの要因となり、これに悩んでいる方は多いのです。
まず、共有不動産は売却・建物の建て替え・担保提供など何をするにしても共有者の合意が必要となり、共有者単独では何もできなくなることが挙げられます。例えば、目先の相続税納税でご相談者様が物納を選択せざるを得ない場合、共有者単独では物納申請ができないことから、共有者であるお姉様が納税資金が無いなどの物納条件を満たした上で、お二人で物納申請をしなければならなくなります。
ご相談者様とお姉様が相続される不動産は貸しアパートとのことですが、共有する賃貸不動産の経営は揉め事が付き物です。例えば修繕や建て替えの必要が生じた時の内容や費用負担の割合をどうするか、その後の賃料収入の取り分をどうするかなどで揉めて、親族にもかかわらず険悪な関係に陥った例は数多くあります。
ご相談者様とお姉様のように、共有する経緯や不動産の管理状況を把握している方同士の共有であれば、トラブルが生じる懸念は少ないかと思われます。しかし、今後ご相談者様またはお姉様が亡くなられたことによる代替わりが生じた際は、共有解消の手立てを取っていない場合、いとこ同士の不動産の共有不動産となります。こうなると権利関係が一層複雑になることに加え、当初の経緯などが分からない方同士の共有となるわけですから、トラブルが生じやすくなります。
なお、一方もしくはお2人ともに以前に年間で110万円以上の贈与(基礎控除の範囲以上)をお父様より受けており、相続時精算課税制度を選択し利用されている場合、相続財産の価額に相続時精算課税制度を適用して贈与を受けた財産の価額(贈与時の価額)を加算して相続税を計算します。
以上のことをお母様にご説明いただければと思います。
貸アパートについては、他に相続される金融資産の割合を調整するなどしてご相談者様またはお姉様のいずれかの単独所有とすること、あるいは一旦共有で相続登記のうえ早急に売却し、その売却代金を均等に分けることが最善と考えます。いずれの場合も、お姉様とよくご相談のうえ進めてください。
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