不動産売却みんなのQ&A

2020.10.22 相続について

不動産の共有状態を解消する方法について、教えてください

義理の父が亡くなり、遺された自宅を妻が義兄・義妹とそれぞれ3分の1ずつの共有名義で相続することになりました。既に相続登記を済ませ、建物は近々解体して更地にすることまで決まっていますが、その後の計画は白紙だそうです。



以前このサイトで不動産を共有することについての問題点を拝読したこともあり、自宅を共有で所有することについての懸念を妻に話しました。その結果、妻は共有状態を解消する方向で義理の兄・妹と話し合うことになったのですが、共有を解消するにはどのような方法・手段があるのか教えてください。

奥様方が相続される不動産は、実質的に更地です。この場合、共有状態の解消方法として、共有物分割/持分買取または持分売却/等価交換/換価を挙げることができます。

 

それぞれの方法について詳しく見てみましょう。

 

(ア)共有物分割

共有している土地を3分の1ずつ物理的に分割して、各共有者の単独所有権とする方法です。これにより、共有者全員が分割したあとの土地を100パーセントの持分で所有することができます。

 

ただし、仮に同じ面積で分割したとしても、それぞれの土地に道路への接面状況や高低差などの違いが出てしまうと財産価値の観点から不平等になります。この場合は一般的に面積割合で調整することになりますが、各所有者それぞれに意見の食い違いが生じ、争いに発展してしまう可能性があります。

 

また、分割後の面積が家を建てることすら不可能なほど極端に狭くなってしまう場合は、そもそも分割する方法は適しません(戸建住環境保全地区に該当している場合、敷地の細分化を防ぐため、新たに敷地面積の限度を設けている場合がございます)。

 

(イ)  持分買取または持分売却

奥様・義兄様・義妹様が、それぞれ他の共有者の持分を買取/売却して、誰かの単独所有権とする方法です。これにより、共有状態は解消できます。

 

ただし、この方法は適正な買取/売却価格の決定が難しいことと、売買契約の内容が曖昧になりがちな点に注意が必要です。この方法を採る場合は、買取/売却価格についてお互いに十分な話し合い持つことはもちろんのこと、価格水準の算定や売買契約書の作成に十分な知見を持つ不動産仲介会社に代理を依頼することが一案です。

 

(ウ)等価交換

奥様・義兄様・義妹様と共同でデベロッパーと分譲マンションなどを建築し、それぞれの持分に応じて完成したマンションの部屋を取得するもので、都心部でよく見られる共有の解消方法です。

 

の方法は一般的に共有している土地の一部と完成した建物の一部の交換であるため、共有状態が完全に解消するわけではありません。しかし、土地の一部と完成したマンションの部屋を交換することで建築費用を負担せずマンションの持分を取得することが可能となり、さらに共有で賃貸マンションなどを建設した場合に比べて将来の売却が行いやすくなります。

 

ただし土地の条件や周辺環境などによりマンション建築などが難しい場合は、この方法を採ることはできません。

 

(エ)換価

上記(ア)から(ウ)のいずれの方法も難しい場合、奥様・義兄様・義妹様の合意のもと、共有している土地を一つの土地として売却して、それぞれ3分の1ずつ売却代金を取得することも可能です。

 

不動産のままで各相続人平等に分割することは難しいのですが、売却後のお金を平等に分けることは容易であり、後々の揉め事を防ぐことにもなります。ただし、共有持分の不動産の売却は、単独所有の不動産よりも買い手を見つけることが困難であることが一般的です。共有持分不動産の売買仲介に強みを持つ不動産仲介会社もいますので、インターネットなどで探してみることをお勧めします。

 

上記いずれの方法も奥様には義兄様・義妹様の同意と協力が不可欠であり、着手から共有状態の解消までには相応の期間を要します。しかしながら、代替わりなどによって共有による問題が顕在化・複雑化する前に、早めに対処して共有状態を解消しておくことが最善です。

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