遺産分割協議が整っていない不動産を売却できますか?

父が亡くなり、私と妹で財産を相続することになりました。


悲しい話しですが、妹は父・私と不仲で父の葬儀すら出席しませんでした。また、遺産を分ける話し合いをしようと呼びかけても、なかなか応じてくれません。


父の全財産約4億円のうち9割強が自宅であり、これは父の意向もあり長年同居して世話をしてきた私が相続することがふさわしいと考えています。しかし、私には相続税納税のための手元資金が無いので、いったん私名義で相続登記をしたうえで自宅を売却、相続税納税資金に充てようと考えています。


妹と相続の話し合いができていないのですが、そのような状況で売却することは可能ですか?何か注意しておくことがありましたら、教えてください。

公開日時 : 2018年11月29日
カテゴリー : 相続に関係すること

ご相談者様が妹様との遺産分割協議(遺産の分け方について、相続人間で話し合って決めること)が整わない中でご自宅の相続登記や売却などを行うことは、妹様に対する明らかな遺留分の侵害になってしまいます。


遺留分とは、亡くなった被相続人のご遺志やその他の状況によらず、民法により相続人が保証されている最低限の取り分です。本件の場合、妹様の遺留分はお父様の全財産のうち4分の1となります。そして、妹様はご相談者様に対して侵害された遺留分相当の支払いを請求する「遺留分減殺(げんさい)請求」を行う権利を有します。


仮に相続登記後に妹様から遺留分減殺請求が為され、それが家庭裁判所に認められた場合、その請求相応のご自宅不動産の持ち分が妹様に移転し、ご自宅不動産は妹様と共有となります。共有となった不動産はご相談者様の一存による売却はできませんから、妹様との関係を鑑みると売却は一層難しくなります。


また、妹様との遺産分割協議が整わないまま、ご相談者様が遺留分侵害の事実を隠しご自宅不動産を売却した中で妹様の遺留分減殺請求が認めらた場合、妹様から売却代金の仮差押ないし買主宛ての遺留分減殺請求が為される可能性があります。特に後者の場合、買主からご相談者様に対して遺留分減殺請求相当額の求償や損害賠償請求が来ることが考えられます。


心情面で難しいこともあろうかと存じますが、まずは妹様との遺産分割協議を整えることを最優先としてください。その過程でもし妹様が遺留分を放棄することに同意すれば、妹様から「遺留分放棄書」を得ることで円満なご自宅不動産の売却が可能です。そうでない場合は、「自宅不動産の売却代金のうち○割を妹のものとする」という内容の遺産分割協議書になるでしょう。


もし妹様が頑なに遺産分割協議へ赴くことを拒否するようであれば、家庭裁判所へ「遺産分割調停」を提起することが一案です。

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