不動産売却、翌年の税金はいくら?住民税で慌てないための計算方法・節税術を全解説
不動産を売却してまとまったお金が入ると、一安心する方も多いかもしれません。
しかし、その翌年に「忘れた頃にやってくる」のが税金の支払いです。
特に住民税は所得税と支払うタイミングが違うため、聞いていたよりも高額な請求が来て驚いたというケースも少なくありません。
この記事では、不動産売却の翌年にかかる税金について、専門知識がない方でも理解できるよう分かりやすく解説します。
この記事を読めば、以下の点が明確になります。
- 翌年にどの税金をいつ支払うのか
- 自分の場合は税金がいくらになるのか、その計算方法
- 税金の負担を軽くするための控除や特例の活用法
予期せぬ出費で慌てないために、正しい知識を身につけ、計画的に準備を進めましょう。

アウトライン
- 不動産売却の翌年に支払う税金は2種類!いつ・何を払う?
- 【住民税の支払い方法】給与天引き(特別徴収)と自分で納付(普通徴収)
- あなたの税金はいくら?譲渡所得税の計算方法を3ステップで解説
- 【簡単シミュレーション】売却益600万円の場合、翌年の税金はいくら?
- 税金をゼロにできる可能性も!必ず知っておきたい節税の特例・控除
- まとめ:不動産売却翌年の税金は、事前の知識と計画で賢く対策しよう
不動産売却の翌年に支払う税金は2種類!いつ・何を払う?
不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、その利益に対して税金がかかります。
これは一般的に「譲渡所得税」と呼ばれ、実際には以下の2つの税金の総称です。
- 所得税・復興特別所得税
- 住民税
これらは同じ利益に対してかかる税金ですが、申告先や納付するタイミングが異なるため注意が必要です。
まずは、いつ、何を支払うのか全体像を把握しましょう。
| 税金の種類 | 申告・納付の時期 | 概要 |
|---|---|---|
| 所得税・復興特別所得税 | 不動産を売却した翌年の2月16日~3月15日 | 確定申告を行い、税務署に一括で納付するのが一般的です。 |
| 住民税 | 不動産を売却した翌年の6月以降 | 確定申告の情報に基づき市区町村が税額を計算し、納税通知書が届きます。 |
① 所得税・復興特別所得税:売却翌年の確定申告で納付
所得税と復興特別所得税は、不動産を売却した翌年に行う確定申告の際に納付します。
申告期間は、原則として毎年2月16日から3月15日までです。
この期間内に、税額を自分で計算して申告し、納税まで済ませる必要があります。
② 住民税:確定申告のあと、翌年6月から納付開始
住民税は、所得税のように確定申告時に自分で納付するわけではありません。
確定申告の内容は税務署から市区町村に伝えられます。
その情報をもとに市区町村が住民税額を計算し、売却した翌年の6月頃に納税通知書を送付してきます。
そのため、所得税の納税から少し時間が空いてから請求が来ることになり、忘れた頃に高額な請求が来たと感じやすいのです。
【住民税の支払い方法】給与天引き(特別徴収)と自分で納付(普通徴収)
住民税の支払い方には、「特別徴収」と「普通徴収」の2つの方法があります。
ご自身の状況によってどちらの方法で納付するかが変わります。
特に会社員の方は、翌年の給与の手取り額に影響が出るため、事前に知っておくことが大切です。
| 徴収方法 | 対象となる方の例 | 納付方法 |
|---|---|---|
| 特別徴収 | 会社員などの給与所得者 | 翌年6月~翌々年5月の給与から天引きされます。 |
| 普通徴収 | 個人事業主、退職された方など | 自宅に届く納付書で、原則年4回に分けて自分で納付します。 |
会社員は注意!給与から天引きされる「特別徴収」
会社にお勤めの方は、原則として住民税が給与から天引きされる「特別徴収」となります。
不動産売却による住民税も、通常の給与に対する住民税と合算されて天引きされます。
そのため、売却翌年の6月以降、月々の給与の手取り額が大きく減少し、驚いてしまうケースがあります。
事前に納税額を把握し、家計への影響をシミュレーションしておくと安心です。
退職後の方・個人事業主はこちら「普通徴収」
個人事業主の方や、すでに退職されている方は「普通徴収」で納付します。
市区町村から送られてくる納付書を使って、金融機関やコンビニなどで支払います。
納付は通常、6月、8月、10月、翌年1月の年4回に分けられています。
なお、会社員の方でも確定申告の際に「住民税に関する事項」で「自分で交付」を選択することで、不動産売却分の住民税だけを普通徴収にできる場合があります。
あなたの税金はいくら?譲渡所得税の計算方法を3ステップで解説
それでは、実際に税額がどのように決まるのか、計算の流れを見ていきましょう。
計算は、以下の3つのステップで進めます。
専門的な言葉も出てきますが、それぞれは難しくありません。
- ステップ1: 売却による利益である「譲渡所得」を計算する
- ステップ2: 特例が使える場合、税金の対象額「課税譲渡所得」を計算する
- ステップ3: 不動産の所有期間に応じた「税率」をかけて税額を確定する
ステップ1:売却の利益「譲渡所得」を計算する
まず、税金の基本となる売却の利益(譲渡所得)を算出します。
計算式は以下の通りです。
譲渡所得 = 収入金額 - (取得費 + 譲渡費用)
| 項目 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| 収入金額 | 不動産の売却代金そのものです。 | 売却価格3,000万円 |
| 取得費 | その不動産を購入したときの代金や手数料などです。建物は年数に応じた減価償却費を差し引きます。 | – 購入代金 – 購入時の仲介手数料 – 登録免許税、不動産取得税 – リフォーム費用 |
| 譲渡費用 | 不動産を売却するために直接かかった費用です。 | – 売却時の仲介手数料 – 印紙税 – 建物の解体費用 – 測量費 |
【注意】取得費が分からない場合
購入時の契約書などが見当たらず取得費が不明な場合は、収入金額の5%を「概算取得費」として計算することが認められています。
ただし、実際の取得費より大幅に低くなることが多く、結果的に税額が高くなる可能性があります。
できる限り購入時の資料を探すことが重要です。
ステップ2:使える特例があれば「課税譲渡所得」を計算する
次に、後ほど詳しく解説する「特別控除」などの特例が適用できるか確認します。
もし適用できる場合は、ステップ1で計算した譲渡所得から控除額を差し引きます。
この控除後の金額が、実際に税率をかける対象となる「課税譲渡所得」です。
課税譲渡所得 = 譲渡所得 - 特別控除額
ステップ3:所有期間で税率が変わる!税額を確定させる
最後に、課税譲渡所得に税率をかけて最終的な税額を確定させます。
この税率は、売却した不動産の所有期間によって大きく異なります。
所有期間は売却した年の1月1日時点で判断されるため、注意が必要です。
| 所有期間 | 区分 | 所得税 | 復興特別所得税 | 住民税 | 合計税率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 5年以下 | 短期譲渡所得 | 30% | 0.63% | 9% | 39.63% |
| 5年超 | 長期譲渡所得 | 15% | 0.315% | 5% | 20.315% |
このように、所有期間が5年を超えるかどうかで税率が約2倍も変わります。
売却を急がない場合は、所有期間が5年を超えてから売却するだけで、税負担を大きく軽減できる可能性があります。
【簡単シミュレーション】売却益600万円の場合、翌年の税金はいくら?
ここでは、課税譲渡所得が600万円だったと仮定して、税額がいくらになるか見てみましょう。
※このシミュレーションでは、特別控除は適用しないものとします。
ケース1:所有期間5年以下(短期譲渡)の場合
合計税率39.63%を適用します。
- 計算式:600万円 × 39.63% = 2,377,800円
- 税額(所得税・住民税の合計):約238万円
ケース2:所有期間5年超(長期譲渡)の場合
合計税率20.315%を適用します。
- 計算式:600万円 × 20.315% = 1,218,900円
- 税額(所得税・住民税の合計):約122万円
この例では、所有期間が5年を超えるだけで、税額に約116万円もの差が出ることが分かります。
税金をゼロにできる可能性も!必ず知っておきたい節税の特例・控除
不動産売却では、税負担を大きく軽減できる特例や控除が用意されています。
要件を満たせば、譲渡所得税がゼロになるケースも少なくありません。
ここでは代表的なものを紹介しますが、適用には細かい条件があるため、最終的には専門家への確認をおすすめしますと良いでしょう。
最も効果大!マイホーム売却なら「3,000万円特別控除」
ご自身が住んでいたマイホームを売却した場合に、利用できる可能性が高い特例です。
譲渡所得から最高で3,000万円を控除できます。
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 控除額 | 最高3,000万円 |
| 効果 | 譲渡所得が3,000万円以下であれば、課税譲渡所得がゼロになり、税金がかからなくなる可能性があります。 |
| 主な要件 | – 自分が住んでいる家屋、またはその敷地の売却であること。 – 住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること。 – 売却した年の前年、前々年にこの特例の適用を受けていないこと。 – 親子や夫婦など、特別な関係にある相手への売却ではないこと。 |
この特例は不動産の所有期間に関わらず利用できるため、多くの方が対象となる可能性があります。
10年以上住んだ家なら更にお得「軽減税率の特例」
売却した年の1月1日時点で、所有期間が10年を超えるマイホームを売却した場合、さらに税率が低くなる特例です。
3,000万円特別控除とあわせて利用することが可能です。
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 対象 | 3,000万円特別控除を適用した後の課税譲渡所得のうち、6,000万円以下の部分 |
| 軽減後の税率 | 合計14.21% (所得税10.21%、住民税4%) |
| 効果 | 通常の長期譲渡所得の税率(20.315%)よりもさらに低い税率が適用され、税負担が軽くなります。 |
相続した実家の売却で使える「取得費加算の特例」と「空き家特例」
親から相続した不動産を売却する場合には、主に2つの特例が考えられます。
どちらか一方しか選択できないため、より有利な方を選ぶと良いでしょう。
| 特例の名称 | 概要 |
|---|---|
| 取得費加算の特例 | 支払った相続税の一部を、不動産の取得費に上乗せできる制度です。譲渡所得を圧縮する効果があります。相続開始から3年10ヶ月以内に売却する必要があります。 |
| 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例 | 一定の要件を満たす、被相続人が住んでいた家(空き家)を売却した場合に、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度です。 |
まとめ:不動産売却翌年の税金は、事前の知識と計画で賢く対策しよう
不動産を売却した翌年の税金について解説しました。
最後に、重要なポイントを振り返ります。
- 支払う税金: 譲渡所得に対して「所得税・復興特別所得税」と「住民税」がかかります。
- 支払う時期: 所得税は売却翌年の確定申告時(2月~3月)、住民税は翌年6月以降に納付が始まります。
- 税額の計算: 税額は「課税譲渡所得 × 税率」で決まり、税率は所有期間が5年超かどうかで大きく変わります。
- 節税対策: 「3,000万円特別控除」をはじめとする特例を活用することで、税負担を大幅に軽減できる可能性があります。
不動産売却の税金は、仕組みが少し複雑に感じられるかもしれません。
しかし、事前に流れや計算方法、使える特例を把握しておくことで、納税資金を計画的に準備でき、手元に残るお金を最大化することにつながります。
特例の適用には必ず確定申告が必要ですので、忘れずに行いましょう。
【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の状況に対する判断や結果を保証するものではありません。
実際の不動産取引・税務・法律判断については、税理士・司法書士・弁護士などの専門家へご相談ください。