不動産売却で後悔しない!媒介契約の全知識|3つの種類と選び方、注意点をプロが徹底解説

2025.09.20

「媒介契約って何だろう?」
「不動産会社に言われるがまま契約して、損をするのは絶対に嫌だ…」

初めて不動産を売却する際、多くの方がこのような不安を抱えます。
大切な資産だからこそ、失敗したくないという気持ちは当然です。

不動産売却の成功は、最初のステップである「媒介契約」を正しく理解することから始まります。
この記事では、不動産売却の初心者の方でも安心して売却活動を進められるよう、媒介契約の基本から専門的な注意点まで、わかりやすく徹底解説します。

この記事を最後まで読めば、3種類ある媒介契約のどれが自分に合っているのかが明確になり、不動産会社の担当者と対等に話せるだけの知識が身につきます。
もう不安に悩まされることなく、自信を持って納得のいく売却を実現するための第一歩を踏み出しましょう。

不動産売却で後悔しない!媒介契約の全知識

そもそも不動産売却の「媒介契約」とは?基本を1から解説

不動産の売却を考え始めたとき、まず耳にする専門用語が「媒介契約」です。
しかし、具体的にどのような契約なのか、なぜ必要なのかを正確に理解している方は少ないかもしれません。

この章では、不動産売却の出発点となる媒介契約の基本について、初心者の方にも分かりやすく解説します。

媒介契約はなぜ必要?不動産会社との「約束事」

媒介契約とは、あなたが所有する不動産の売却活動を、不動産会社に正式に依頼するための契約です。
いわば、売主と不動産会社の間の「公式な約束事」と言えるでしょう。

この契約書には、不動産会社が行う業務内容、売主への報告義務、そして売却が成功した際の報酬(仲介手数料)などが明記されます。
口約束だけで進めてしまうと、「言った、言わない」といったトラブルに発展しかねません。

媒介契約を交わすことで、依頼する業務の範囲と責任の所在が明確になり、売主は安心して売却活動を任せることができるのです。

「媒介契約書」と「売買契約書」の決定的な違い

不動産売却のプロセスでは、似たような名前の契約書が登場するため、混乱してしまうことがあります。
特に初心者が混同しやすいのが「媒介契約書」と「売買契約書」です。
この二つは目的もタイミングも全く異なるため、違いをしっかり理解しておきましょう。

比較項目 媒介契約書 売買契約書
契約の相手 不動産会社 買主
契約の目的 不動産の売却活動(仲介)を依頼するため 不動産そのものを売買するため
締結のタイミング 不動産会社に売却を依頼する時(売却活動の開始前) 買主が見つかり、売買条件が合意に至った時

つまり、媒介契約は「売却の準備」段階の契約であり、売買契約は「売却の実行」段階の契約と覚えておくと分かりやすいです。

あなたに最適なのはどれ?3種類の媒介契約を徹底比較

媒介契約には、大きく分けて「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3種類があります。
どの契約を選ぶかによって、売却活動の進め方や不動産会社との関わり方が大きく変わるため、それぞれの特徴を理解することが非常に重要です。

この章では、3つの契約形態を様々な角度から比較し、あなたがどの契約を選ぶべきかの判断材料を提供します。

【一覧表で早わかり】一般・専任・専属専任のメリット・デメリット

まずは、3種類の媒介契約の主な違いと、それぞれのメリット・デメリットを一覧表で確認しましょう。
この表を見るだけで、全体像を素早く把握できます。

 

比較項目 一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
契約できる会社数 複数社と契約できる 1社のみと契約 1社のみと契約
自己発見取引の可否 可能 可能 不可能
レインズへの登録義務 任意(義務なし) 義務あり(契約から7日以内) 義務あり(契約から5日以内)
業務報告義務 任意(義務なし) 義務あり(2週間に1回以上) 義務あり(1週間に1回以上)
契約の有効期間 法令上の定めなし(行政指導は3ヶ月以内) 3ヶ月以内 3ヶ月以内
メリット – 幅広く情報を公開できる
– 会社間を競わせることができる
– 不動産会社の責任感が強くなる
– 自分で買主を見つけられる
– 手厚いサポートが期待できる
デメリット -不動産会社の活動が手薄になりがち
-連絡や情報管理が煩雑になる
-依頼先からの報告業務なしの為、状況把握しにくい
– 会社の力量に売却が左右される – 会社の力量に売却が左右される
– 自己発見取引の場合も仲介手数料を支払う必要あり

じっくり複数の会社と進めたい人向け「一般媒介契約」

一般媒介契約は、複数の不動産会社に同時に売却活動を依頼できる、最も自由度の高い契約形態です。
人気エリアの物件や、相場より少し安くても早く売りたい場合など、多くの買い手からのアプローチが期待できる状況で有効です。

複数の会社がそれぞれのネットワークで買い手を探すため、情報が広く拡散される可能性があります。
しかし、不動産会社から見れば「他社で契約が決まれば、自社の努力が報われない」というリスクがあるため、広告費をかけた積極的な販売活動をためらう傾向があります。
そのため、売主自身が進捗状況を確認し、各社と密に連携を取る主体性が求められます。

1社に任せて積極的に売りたい人向け「専任媒介契約」

専任媒介契約は、信頼できる1社に絞って売却活動を任せる契約です。
依頼された不動産会社は、仲介手数料を得られる可能性が高まるため、責任を持って積極的に販売活動を行ってくれる傾向があります。

また、2週間に1回以上の業務報告義務があるため、売主は活動状況を定期的に把握でき安心です。
万が一、自分で親戚や知人など買主を見つけた場合(自己発見取引)でも、不動産会社を介さずに直接契約できる柔軟性も残されています。
ただし、選んだ1社の販売力や担当者の能力に売却の成否が大きく依存するため、会社選びが非常に重要になります。

完全に任せたい人向け「専属専任媒介契約」

専属専任媒介契約は、3種類の中で最も制約が厳しい一方で、最も手厚いサポートが期待できる契約です。
不動産会社は1週間に1回以上の業務報告義務を負い、契約から5日以内という迅速なレインズ登録が求められるため、販売活動に最も力を入れてくれる可能性が高いです。

ただし、最大の注意点は「自己発見取引が認められない」ことです。
たとえ自分で買主を見つけても、必ず契約した不動産会社を介さなければならず、仲介手数料が発生します。
完全に不動産会社に売却活動を完全に任せたい場合に適した契約と言えるでしょう。

【状況別】媒介契約の選び方ガイド|「早く売りたい」「高く売りたい」など目的別に解説

どの媒介契約が自分に合っているか、まだ迷っている方もいるかもしれません。
あなたの売却における優先順位によって、最適な選択は変わります。

 

あなたの希望・状況 おすすめの契約タイプ 理由
とにかく早く売りたい 専任媒介契約 または 専属専任媒介契約 1社に絞ることで、不動産会社が広告費を投下しやすく、販売活動に集中してくれるため、早期売却の可能性が高まります。
少し時間がかかっても高く売りたい 専任媒介契約 または 一般媒介契約 1社とじっくり戦略を練る「専任」、または複数の査定額を比較しながら進められる「一般」が選択肢になります。
人気エリアの物件で自信がある 一般媒介契約 買い手が見つかりやすい物件であれば、複数の会社に依頼して競争させることで、より良い条件を引き出せる可能性があります。
不動産会社とのやり取りは最小限にしたい 専任媒介契約 または 専属専任媒介契約 窓口が1社に集約されるため、複数の会社と連絡を取り合う手間が省けます。特に専属専任は報告義務も厳しく、任せきりにしたい人向けです。
自分で買主を見つける可能性がある 一般媒介契約 または 専任媒介契約 自己発見取引が認められているこの2つの契約が適しています。専属専任を選ぶと、自分で見つけても仲介手数料が必要になります。

契約前に必ずチェック!媒介契約書の7つの重要ポイントと注意点

媒介契約の種類を決めたら、次は契約書の内容をしっかりと確認するステップです。
専門用語が並ぶ契約書に、不安を感じるかもしれません。

しかし、ここで内容を理解せずにサインしてしまうと、後で「こんなはずではなかった」と後悔する可能性があります。
この章では、契約書にサインする前に必ず確認すべき7つの重要ポイントを解説します。

①契約の有効期間と更新のルール

媒介契約の有効期間は、専任媒介契約と専属専任媒介契約の場合、宅地建物取引業法で最長3ヶ月と定められています。
一般媒介契約には法的な期間の定めはありませんが、行政指導により3ヶ月以内とするのが一般的です。

重要なのは、期間が満了しても自動的には更新されないという点です。
契約を継続したい場合は、売主から不動産会社に申し出て、改めて書面で更新手続きを行う必要があります。
売れないからといって安易に同じ条件で更新するのではなく、これまでの活動内容を見直し、今後の戦略を再検討する機会と捉えましょう。

②仲介手数料の金額と支払いタイミング

仲介手数料は、売却が成功したときに不動産会社に支払う成功報酬です。
媒介契約を結んだだけでは、支払い義務は発生しません。
その上限額は法律で定められており、以下の速算式で計算できます。

 

売買価格(税抜) 計算式
200万円以下 売買価格 × 5% + 消費税
200万円超 400万円以下 売買価格 × 4% + 2万円 + 消費税
400万円超 売買価格 × 3% + 6万円 + 消費税

例えば、物件が3,000万円で売れた場合の上限額は「3,000万円 × 3% + 6万円」に消費税を加えた105万6,000円です。
契約書に記載されている金額が、この上限を超えていないか必ず確認しましょう。

③レインズ(指定流通機構)への登録義務

「レインズ」とは、全国の不動産会社が物件情報を共有するためのコンピューターネットワークシステムです。
ここに物件情報を登録することで、契約した不動産会社だけでなく、他の多くの不動産会社も買い手を探すことができるようになり、売却の機会が格段に広がります。

 

契約の種類 レインズへの登録義務
一般媒介契約 任意(義務なし)
専任媒介契約 義務あり(契約締結の翌日から7日以内)
専属専任媒介契約 義務あり(契約締結の翌日から5日以内)

専任または専属専任媒介契約を結ぶ際は、契約書に登録義務に関する記載があるか、そして不動産会社がきちんと期限内に登録してくれるかを確認することが重要です。

④業務報告の頻度と内容

不動産会社に売却活動を任せている間、「ちゃんと動いてくれているのだろうか」と不安になるものです。
その不安を解消するのが、不動産会社からの業務報告です。

 

契約の種類 業務報告の義務
一般媒介契約 任意(義務なし)
専任媒介契約 義務あり(2週間に1回以上)
専属専任媒介契約 義務あり(1週間に1回以上)

報告では、問い合わせ件数、広告の反響、内覧希望者の反応など、具体的な活動内容を文書またはメールで受け取ることができます。
この報告は、売却活動が順調に進んでいるかを確認し、今後の戦略を立てるための重要な判断材料となります。

⑤【要注意】契約期間中の解除と違約金の条件

「もし不動産会社の対応が悪かったら、途中で契約解除できるの?」という疑問は非常に重要です。
原則として、契約期間中に売主の一方的な都合で契約を解除する場合、違約金が発生する可能性があります。

ただし、請求されるのはあくまで「それまでにかかった広告費などの実費」であり、仲介手数料そのものではありません。
一方で、以下のような不動産会社側の明らかな落ち度(契約違反)があった場合は、違約金なしで解除できます。

  • 正当な理由なくレインズに登録しない
  • 定められた頻度で業務報告をしない
  • 売却活動を全く行っていない

契約書にどのような場合に違約金が発生するのか、その条件が明記されているかを必ず確認してください。

⑥契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)について

2020年4月の民法改正により、「瑕疵(かし)担保責任」は「契約不適合責任」という名称に変わりました。
これは、売却した物件に、契約書の内容に適合しない欠陥(例:雨漏り、シロアリ被害、主要な柱の腐食など)が見つかった場合に、売主が買主に対して負う責任のことです。

買主は、売主に対して修補の請求、代金の減額請求、損害賠償請求、さらには契約の解除を求めることができます。
このようなトラブルを避けるためにも、物件の状態について知っていることは、良いことも悪いことも全て正直に不動産会社に伝え、契約書に明記することが極めて重要です。
契約書に「契約不適合責任を免除する」という特約を盛り込むことも可能ですが、売主が知っていて伝えなかった欠陥については責任を免れられないので注意が必要です。

不動産会社の「囲い込み」とは?悪質な手口と信頼できる会社の見極め方

不動産売却を進める上で、売主が最も警戒すべきトラブルの一つが「囲い込み」です。
これは一部の悪質な不動産会社が行う手口で、売主の利益を大きく損なう可能性があります。

この章では、囲い込みの仕組みと、それを見抜き、信頼できるパートナーを選ぶためのポイントを解説します。

なぜ「囲い込み」は売主の不利益になるのか?

不動産会社は通常、売主と買主の双方から仲介手数料を受け取る「両手仲介」を目指します。
囲い込みとは、この両手仲介を狙うために、自社で見つけた買主とだけ取引を進めようとし、他の不動産会社が見つけてきた購入希望者を意図的に断ってしまう行為です。

例えば、「すでに商談中です」と嘘をついて、内覧の申し込みを断るケースが典型です。
これにより、あなたの物件はより高く、より早く買ってくれるかもしれない機会を失ってしまいます。
結果として、売却期間が不必要に長引いたり、値下げを余儀なくされたりするなど、売主にとって大きな不利益となるのです。

信頼できる不動産会社を見極める3つのポイント

悪質な囲い込みを避け、安心して任せられる不動産会社を見極めるには、以下の3つのポイントが重要です。

  1. 査定価格の根拠が明確か
    相場からかけ離れた高い査定額を提示して契約を迫る会社には注意が必要です。なぜその価格なのか、周辺の取引事例や市場動向に基づいた客観的で納得のいく説明を求めてください。
  2. 売却戦略を具体的に提案してくれるか
    あなたの物件の特性やあなたの希望に合わせて、どのような広告を使い、どんな層にアプローチするのか、具体的な販売計画を提示してくれる会社は信頼できます。
  3. 地域情報に精通し、顧客に寄り添う姿勢があるか
    その地域での売買実績が豊富で、周辺環境や相場を熟知している会社は、的確なアドバイスが期待できます。イエステーションのように、地域に根ざした活動を重視し、顧客一人ひとりの声に耳を傾ける姿勢を持つ会社を選ぶことが、成功への近道です。

不動産売却の媒介契約に関するよくある質問(Q&A)

ここまで媒介契約について詳しく解説してきましたが、まだ細かな疑問が残っている方もいるかもしれません。
この章では、特に多く寄せられる質問について、Q&A形式で簡潔にお答えします。

Q. 媒介契約を結んでも売れなかったらどうなる?

A. 心配ありません。契約期間が満了しても物件が売れなかった場合、売主に費用が発生することはありません。
仲介手数料はあくまで「成功報酬」だからです。

期間満了後は、以下の選択肢を検討することになります。

  • 同じ不動産会社と条件を見直して再契約する
  • 別の不動産会社に切り替えて、新たな媒介契約を結ぶ
  • 一旦、売却活動を休止する

不動産会社の活動内容や市場の状況を振り返り、次の最適な一手を選びましょう。

Q. 遠方に住んでいても売却は可能?

A. はい、可能です。
遠隔地にお住まいの場合でも、不動産売却を進めることはできます。

ただし、物件の確認や内覧の立ち会い、書類のやり取りなどで工夫が必要です。
このようなケースでは、現地の状況をこまめに報告してくれる不動産会社とのコミュニケーションがより一層重要になります。
そのため、報告義務が明確に定められている「専任媒介契約」や「専属専任媒介契約」が向いていることが多いです。
書類のやり取りは郵送で行い、最近ではオンラインでの相談に対応してくれる会社も増えています。

まとめ:媒介契約を正しく理解し、納得のいく不動産売却を実現しよう

不動産売却における「媒介契約」は、単なる手続きの一つではありません。
どの契約を選ぶかが、売却のスピード、価格、そして最終的な満足度を大きく左右する、非常に重要な戦略的な選択です。

この記事では、3種類の媒介契約それぞれの特徴と、あなたの状況に合わせた選び方、そして契約時に注意すべきポイントを解説しました。

  • 一般媒介契約: 複数の会社に依頼できるが、活動が手薄になる可能性も。
  • 専任媒介契約: 1社に任せることで積極的な活動が期待できるバランス型。
  • 専属専任媒介契約: 完全に任せたい方向けですが売上側の制約が厳しい。

大切なのは、これらの特徴を正しく理解し、他人に任せるのではなく、あなた自身が主体となって最適な契約を選ぶことです。
この記事で得た知識を武器に、信頼できる不動産会社のパートナーを見つけ、自信を持って売却活動の第一歩を踏み出してください。
あなたの不動産売却が、後悔のない、納得のいくものになることを心から願っています。

 

関連記事

2025.10.01

不動産売却は家の整理から!片付けで査...

2025.08.23

不動産売却の相談窓口はどこ?【完全ガ...

2025.08.22

契約前に知っておきたい!不動産売買ト...

2025.06.26

古い空き家の不動産売却、修繕して高く...

不動産のご相談や
査定依頼はこちら