建物を母が、借地権を私が相続します。問題はありませんか?

父(末期がんにかかっています)には借地権付きの自宅以外めぼしい財産がなく、また相続人は同居している母と私のみです。


父は自分が死んだ後の母の生活を何よりも気にしています。母も高齢であり、死ぬときは父や私と長年住んだ自宅で…と強く希望しており、父も私もその願いを叶えてあげたいと考えています。


そこで自分が死んだ後も母が確実に自宅に居住できるように、自宅建物を母に、借地権を私に相続させようと考え、その内容の遺言も作成したとのことです。


私は父の意向に対して、何も異論を言うつもりはありません。しかし、父の死後、借地権と建物の名義人が異なっていても問題ないのでしょうか?50年近く前に父が地主と結んだ借地契約書を読んでみましたが、このようなことを想定していない契約内容でした。今後地主との関係を良好に保つよう注意が必要でしょうか。


借地権を私に、建物を母に相続させる父の意向について、注意すべきことがありましたら教えてください。

公開日時 : 2018年09月15日
カテゴリー : 相続に関係すること

お父様が借地権とその対象となる建物をそれぞれ分けて、ご相談者様とお母様に相続させることについては、少なくとも法的には何も問題ありません。

 

過去に類似のケースで土地を借りている人に地主から「借地権の無断転貸」や「借地人との信頼関係が壊れた」などを理由として借地契約の解除を求める訴訟がありましたが、いずれも地主の主張を退けた判例です。よって、お父様のご意向が借地契約の解除の理由となることは考えにくいでしょう。

 

一方、遺言によるお父様からお客様への借地権の相続は、相続発生時に地主にその旨を伝えて承諾を得る必要があることと併せて、その際に地主から承諾料を要請されることを想定しておく必要があります。相続発生時の地主に対する対応を怠ることでトラブルとなった事例は、数多くあります。

 

また、お父様の借地権についてですが、地主と締結した契約内容を約50年前から何も変えていないのであれば、一般的に地主にとって不利な旧法借地です。地主がこれに問題意識を持っている場合は、相続発生をタイミングとしてご相談者様に底地権(借地に対する地主の所有権)買取の相談があるかもしれません。

 

その際は、地主と金額などの条件が折り合えば、お母様がより安心して現在の自宅に住むために底地権を買い取ってお客様の完全所有権とすることも一案です。その方が地主が底地権を第三者に売却してしまうよりも好ましいと言えます。

 

いずれにせよ、相続発生時には地主に対して誠意のある対応を心がけてください。

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