不動産売却みんなのQ&A

2020.10.22 相続について

死因遺贈契約書で建物を譲ってもらいましたが、土地は借地権でした。どうなりますか?

先般、事業の経営パートナーが亡くなりました。



彼は生涯独身だったこともあり、法定相続人とよばれる身内が存在しません。生前、病気で死期を悟った頃、私に「自分が死んだら、長年ともに事業を営んでいた君に自宅兼事務所を遺したい。そして事業を継続して欲しい。」と申し出てくれました。私は承諾し、彼と「死因贈与契約書」を締結しました。



彼が亡くなり、家庭裁判所に申し立て相続財産管理人を選任してもらったところ、当該自宅兼事務所の土地は実は借地権であると指摘を受けました。同時に、建物について事務所部分は、登記がなされていないこともわかりました。



そして、死因贈与契約書には建物のことだけが記載されており借地権については何も書かれていないことに気づきました。契約を締結した当時は、彼も私もそこまで配慮が回らなかったのです…。



この場合、借地権の取り扱いはどうなるのでしょうか?



相続財産管理人によると、地主との借地権契約書には彼の亡くなった場合の取り決めは何も記載されていません。その場合でも、相続人がいないことを理由に地主に返還されたり、あるいは国のものになることはあり得るのでしょうか。

結論から申し上げますと、よほどの事情のためにご相談者様がパートナーの方からの自宅兼事務所に関する死因贈与契約そのものを撤回しない限り、借地権はご相談者様が取得することになります。死因贈与を受ける建物の登記の有無は関係ありません。

 

その理由をご説明します。

 

民法総則87条に、「主物(しゅぶつ)及び従物(じゅうぶつ)」に関する規定があります。少し分かりにくいのですが、具体的に条文を見てみましょう。

 

第1項:

物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは、その附属させた物を従物とする。

第2項:

従物は、主物の処分に従う。

 

この条文に、本件の自宅兼事務所と借地権を当てはめてみましょう。

第1項の規定は「物(=自宅兼事務所)の所有者(=パートナー)が、その常用に供するため(=居住して事業を行う)、自己の所有(=自宅兼事務所)に属する他の物(=借地権)をこれ(=自宅兼事務所)に附属させたときは、その附属させた物(=借地権)を従物(=借地権)とする。」と解されます。

 

つまり主物が自宅兼事務所、従物が借地権となります。

 

そして主物である自宅兼事務所の一部、つまり建物に対する登記は法令上義務付けられていませんから、登記の有無は問題とならないのです。

 

そして第2項の規定は「従物(=借地権)は主物(=自宅兼事務所)の処分(=死因贈与)に従う」と解されます。よって、死因贈与契約書に明確な記載がなかったとしても、生前のパートナーとの死因贈与契約に基づいてご相談者様はパートナーから自宅兼事務所の死因贈与を受けると同時に、従物である借地権の死因贈与も受けることとなります。

 

あとは相続財産管理人の指示に基づき、適切に手続きを進めてください。もし地主がパートナーからお客様への遺贈について異議を申し立てたとしても、上記が対抗要件となります。

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